通信販売事業を運営されている経営者・マーケティング担当者の方の中には、もっとネット通販事業を拡大したい、ネット通販やモール出店は興味があるのだけれど、どのように情報収集して企画を立てれば良いかわからない、というお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ネット通販事業には大きく分けて2つの運営方法があります。1つ目は、自社ECサイトを立ち上げること、2つ目は、モール型ECサイトに出店することです。すでに自社ECサイトを運営していて、売上成長が鈍化してきた際に検討するべきは、モール型ECサイトの運営になります。
以前『モール型ECサイトとは?出店するメリット・デメリットや自社ECとの違い』という記事でどのようなモール型ECサイトがあるかについて解説しました。今回は大手モール型ECの楽天市場について特徴とメリットを詳しく解説したいと思います。
※本記事の情報は全て公開時点のものです。
【振り返り】モール型ECサイトとは?
以前『モール型ECサイトとは?出店するメリット・デメリットや自社ECとの違い』という記事で解説したモール型ECサイトの特徴とメリットについて、簡単におさらいしましょう。
モール型ECサイトとは
1つのモールの中に複数のECサイトが建ち並んだ形態を指す言葉です。モールという言葉のとおり、商店街をイメージすると特徴を掴みやすいかもしれません。有名なモールには来場者が多いため、売上増や知名度の獲得につなげられます。
モール型ECサイトのメリット
初心者でも始めやすいこと
大手モール型ECサイトは、多くの企業が出店しやすいようにさまざまな工夫を凝らしています。使いやすいプラットフォームの設計に加えて、アクセス解析などの分析といったサポートをセットで提供していることが多く、ECサイトに慣れていない初心者でも始めやすいことが第一のメリットです。
新規顧客を獲得しやすい
モール自体に集客力があるため、まったく新しい顧客を獲得しやすいです。例えば家電を購入しようとした人が、たまたまモール内で見かけた食品を購入するというパターンも少なくありません。狙いとは違った形で売上につなげ、リピーターを獲得できる可能性がある点がメリットです。
信頼度が高いため、不信感による顧客の離脱を防げる
自社サイトで販売を行っていると、顧客は安全性を懸念して決済を躊躇(ちゅうちょ)する場合があります。しかし、モール型ECサイトを利用すれば、このような形で顧客が離脱することは少ないです。「大手サイトだから安全」「使ったことのあるサイトなので安心」と考えられるため、むしろ信用がつきやすいのです。
自社ECとの違い
初期費用や月額費用を抑えたい人・顧客情報を自社で収集・管理してマーケティングしたい人・ブランディングを重視したい人は自社ECサイトが向いています。一方で集客効果そのものを高めたい人・個人事業主等ECサイトの新規構築が難しい人・知名度が低い商品を販売している人は、モール型ECサイトへの出店を検討してみる価値があります。
今回は楽天市場の特徴や自社ECサイトに加えて、楽天市場へ出店することのメリット・デメリットを深掘りして紹介していきます。
楽天市場の特徴
日本最大級の取引量
楽天市場とは、楽天が運営しているオンラインモールの名称で、 国内最大級のインターネットショッピング関連サービスの一つです。楽天市場では、書籍や食品をはじめ、コンサートチケット、庭石、保険、不動産と幅広い商品を取り扱っています。
2022年の流通金額(取引金額)は5兆円以上、1日あたりでは153億円もの取引実績があります。
利用者が多く、安心感がある
1億を超えるユーザーが楽天を利用しており、また出店している店舗は、厳しい審査を通過しているため、商品を売買するモールとして安心感があります。
集客力がある
自社でECサイトを立ち上げた場合、まず自社サイトへの流入を確保しなければいけませんが、楽天市場はGoogleの検索最適化や、キャンペーンをはじめとしたさまざまな販促を多数実施し、利用者の獲得・囲い込みをしてくれるため、モール自体に強い集客力があります。インターネット通販全体における楽天市場の取引シェアは28%と非常に高くなっており、40%近いシェアを誇っているカテゴリもあります。
楽天市場出店のメリット
圧倒的な集客と考え抜かれたモール内の顧客回遊設計
スーパーセール
TVCMでもお馴染みの楽天スーパーセール。開催月は3月・6月・9月・12月の3カ月周期で開始月の第1週目開始で1週間開催されます。楽天市場自体への集客と販促支援により、約200万点以上の商品が割引され、最大43~44倍のポイントが獲得できる楽天市場限定のお得なセールで、半額商品も多数登場しています。自社で販促費を予算化することが難しい店舗でも楽天全体の施策の恩恵を受けることで、多くの顧客への販売機会を得ることができます。
お買い物マラソン
ショップ買回り、つまり楽天市場内の複数の店舗で商品を購入すると、買い物をした「ショップ数」に応じて、ポイントがどんどんアップしていくお得なキャンペーンも実施されることがあります。店舗間の顧客回遊を意図的に活性化する施策を楽天が実施してくれているわけです。
売上UPのためのノウハウを学べる
ネットショップのノウハウ提供
ネットショップでは、顧客を直接接客したり、商品に直接さわってもらったりすることができないため、売り方を工夫する必要があります。楽天の出店サポートでは基本からトレンドまでネットショップで商品を販売するためのノウハウを提供してくれます。
ネット販売のプロの担当者がつく
ネットならではの販売ノウハウを知る“ネット販売のプロ”が、コンサルタントとして知識や経験によるサポートはもちろん、楽天市場における顧客の購買動向、アクセス・売上データの状況に基づいた販売戦略を提案してくれます。
楽天大学
楽天大学では、ネットショップ成功のための販売ノウハウを、基礎から応用まで学べる講座を無料eラーニング講座(RUx)として提供。「月商100万円突破のコツ」「販売件数が3倍にアップ!商品ページ改善事例」「iPhoneで撮る商品写真講座」など、多数の動画が視聴可能です。
データ分析ツールの提供
楽天RMS
Rakuten Merchant Server(略して楽天RMS)と呼ばれる店舗運営システムの中で、モール内広告の費用対効果を検証するための、データ分析ツールが利用できます。
R-Karte(アールカルテ)
店舗カルテとも呼ばれるデータ分析ツールではアクセス数や検索ワード、デバイス別のアクセス割合からページ別に転換率や客単価まで多様な視点からデータを分析し、集客企画に活かすことができます。
楽天市場出店のデメリット
他社に比べて出店料が高い
楽天市場のデメリットとして多くの方が懸念を感じるのが、出店料の高さです。他社と比べても楽天市場の出店料は高く感じられます。では、「出店料が自社にとって合理的かどうか」はどのような観点で検討すれば良いでしょうか。
1つの考え方がリアル店舗を出店すると想定した際のテナント料です。メリットとして紹介した通り、楽天は1億人のユーザー=自社にとっての顧客になりうる人たちが利用しており、モール内の顧客回遊にも力を入れています。商品の存在を広く知ってもらわないと売上にはつながりません。そのため、リアルの店舗を出店する際には、人通りの多い場所に店舗を構えることが定石です。東京で山手線の駅前のような人通りの多い場所に店舗を構えることを想像すると、テナント料はどうしても高くなります。楽天市場の集客力を利用できることを踏まえて出店料が自社の販売戦略に適しているかを検討してみましょう。
一部のプロモーションが自由にできない
楽天市場ではプロモーションが自由にできません。例えば、楽天市場では店舗の管理画面から顧客のメールアドレスをダウンロードすることはできません。これには、理由があります。
楽天が会社として利用者の個人情報漏洩防止に力を注いでいるためです。ネット通販において個人情報の漏洩を危惧するユーザーは非常に多いことが総務省の調査でもわかっています。
自由にプロモーションをするために顧客のメールアドレスを取得し、自社でPマーク等の資格を取得して個人情報を管理するにはコストがかかります。楽天市場で実施できるプロモーションでどの程度集客可能なのかを検証した上で、メリットデメリットを比較すると良いでしょう。
まとめ
ここまで楽天市場の特徴とメリット・デメリットを解説してきました。自社ECで売上成長が鈍化してしまった方、ネット通販を始めてみたい方は、楽天市場への出店を検討してみてはいかがでしょうか。
CMLABOの運営会社「アイビーシステム株式会社」では、楽天市場を活用したネット通販の売上拡大のコンサルティングや運営代行の成功事例を多数保有しています。楽天市場に初めて出店したけれど「どこで何が設定できる?」「売上が伸びない時、どこに改善のポイントがある?」等、運営が難しい時は、弊社にご相談ください。