ユーザーを巻き込みながら、自社の売上を拡大させる「UGCマーケティング」が注目を浴びています。UGCマーケティングは、制作コストを抑えながら売上向上を目指せることが特徴で、中小企業でも活用しやすいマーケティング手法です。
今回は、UGCマーケティングとは何かについて触れながら、メリットや手法、注意点を解説します。
UGCマーケティングとは
UGCマーケティングのUGCとは、User Generated Contents(ユーザー作成コンテンツ)の略称です。つまり、企業が自発的に発信する広告ではなく、一般ユーザーにより作成された広告を表しています。一例として、Instagramにアップされた写真や、SNSへの口コミがUGCです。
UGCは、現代のマーケティングにおいて重要とされますが、それはすべての業界に当てはまるわけではありません。例えばBtoB業界は、ユーザー自身が写真や動画を使って、企業の商品をSNSに投稿するような業界ではないため、UGCには不向きです。
IGC・CGMとの違い
よく似た言葉に「IGC」「CGM」がありますが、UGCとは以下のような違いがあります。
【IGC・CGMとの違い】
IGC(Influencer Generated Content) | インフルエンサーが作成した商品やサービスを紹介するもので、主に企業側による依頼をきっかけとして制作される |
CGC(Consumer Generated Media) | ユーザーの投稿により作られるWebサービスで、代表的な例としては口コミ投稿サイトやQ&Aサイトなどが該当する |
UGCマーケティングが注目されるようになった背景
UGCマーケティングが注目を浴びている理由は、従来型のマス広告が衰退し、代わってインターネット広告が発展を遂げたためです。媒体別広告費では、長きにわたりテレビが首位を独占してきましたが、2019年にはインターネットが売上を逆転させています。
また、押し付け感のある広告への嫌悪感が広まったことも、UGCマーケティングが重視される一因となりました。ユーザー自らの意思で発信されるUGCには、リアリティがあります。企業が直接的に発信する広告と比較して信頼されやすいため、企業のマーケティング手法として取り入れられるケースが増加中です。
UGCマーケティングのメリット
UGCマーケティングのメリットは、大きく3つです。それぞれのメリットを紐解くと、UGCマーケティングを重視する企業が多い理由が見えてきます。
制作コストを抑えながら、質の高いコンテンツを大量に発信できる
マーケティングチャネルは多様化しており、これを網羅的に押さえるためには、莫大な制作コストが発生します。しかし、UGCであれば、コンテンツ制作にかかるコストと時間を抑えられます。ユーザー目線のコンテンツを大量に発信することにより、広告運用のPDCAサイクルを高速化することも可能です。
ECサイト・実店舗の売上向上につながる
ECサイトを利用する多くのユーザーが、商品を検討する際に、利用者の口コミやレビューといったUGCを確認しています。購入を検討しているユーザーの背中を押す最後のピースとしてUGCを活用すると、ECサイト・実店舗の売上向上につながる可能性が高いです。
商品開発・マーケティング施策改善のヒントを得られる
UGCはユーザーによるリアルな声であり、商品やサービスがどのように利用されているのか、どこに価値を見出して購入されたのかを知るヒントになります。そのためUGCは、新しい商品開発や既存商品を改良すべきポイント、そしてマーケティング施策そのものの改善点を知る貴重な資料にもなり得るのです。
【3Step】UGCマーケティング実施の流れ
UGCマーケティングを実施する流れを、3つのステップに分けて解説します。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
Step1:UGCを創出する
UGCは原則として、ユーザーが自発的に作成するものでなければなりません。そのため、企業側は、ユーザーが話題にしやすい商品やサービスを提供することが重要です。有効な施策としては、以下の4つが挙げられます。
<UGC創出に有効な施策>
・商品やサービスのハッシュタグを用意し、ユーザーに投稿を促す
・キャンペーンを実施して、ユーザーに投稿を促す
・公式アカウントからUGCをリポストする
・印象に残るユーザー体験を作り、シェアを促す
Step2:UGCを収集する
UGCを能動的に収集し、UGCの活用に向けた準備を進めます。UGCを収集する方法としては、以下の3つが効果的です。
【UGCを収集する方法】
方法 | 概要とポイント |
メール | ・ユーザーにレビュー依頼メールを送信する・利用時などの写真の添付を依頼すると、複数タイプのUGCを収集できる・ユーザーが感想を抱けるようになるまで、適切なタイミングを見計らう必要がある |
Webサイト | ・Webサイト上に口コミを記載できるように設定する・写真の添付を依頼すると、複数タイプのUGCを収集できる |
SNS | ・商品やサービスに関する投稿をSNSから収集する・ハッシュタグをエゴサーチすると投稿を見つけやすい・画像や動画の著作権はユーザーが持つため、利用前に許可を取る必要がある |
Step3:UGCを活用し、効果測定・改善を行う
収集したUGCを活用します。レビュー専用ページを設ける、商品詳細ページなどにUGCを掲載する、広告用LPを作成するといった方法が有効です。UGCマーケティングの実施後は、適時効果の測定を行い、改善点を見つけながら改良を重ねることも忘れてはなりません。
UGCマーケティングの具体的な手法
UGCマーケティングの具体的な手法は、主に5つです。それぞれを簡潔にご紹介します。
公式SNSのハッシュタグを最適化する
UGCマーケティングの第一歩は、自社投稿に最適化したハッシュタグを付けることです。公式SNSアカウントで活用するハッシュタグを最適化すると、ユーザーの認知度を高められ、UGCを促しやすくなります。分かりやすく、印象的なハッシュタグを用意すると良いでしょう。
公式SNSで自社スタッフやユーザーの投稿を紹介する
自社スタッフは商品やサービスの特徴を熟知しているため、第三者から見て魅力的な投稿ができる可能性が高いです。話題性が高い投稿を作り、公式SNSでリポストすると、投稿が拡散されやすいでしょう。ユーザーによる投稿のリポストも有効です。
ハッシュタグキャンペーンを行う
ハッシュタグを付けた投稿を促すキャンペーンも、有効な施策のひとつです。例えば、投稿者を対象に抽選を行い、当選者に非売品のグッズなどを配布すると、UGCを促しやすくなるでしょう。投稿者全員にクーポン券を配布すれば、UGCの収集と同時に再購入も促せます。
インフルエンサーにPRを依頼する
インフルエンサーと個別で連絡を取り、自社商品やサービスをPRしてもらう方法も、UGCマーケティングのひとつです。小規模事業者の場合は、小規模な謝礼でPRを依頼できる、3,000~5,000人程度のフォロワーを抱える「マイクロインフルエンサー」を探しましょう。
ECサイトやLPにUGCを掲載する
ECサイトやLPに収集したUGCを掲載すると、それを見たユーザーの購入を後押ししやすくなります。商品やサービスに関するレビューにはリアリティがあり、企業側が行うメリットの訴求よりも、信頼度を高めやすいためです。
UGCマーケティングを実施する際の注意点
UGCマーケティングを実施する際の注意点は、2つあります。UGCマーケティングの内容によっては、炎上などのトラブルを招く恐れもあるため、十分に注意しましょう。
UGC利用について、発信者に許可を得る
UGCの著作権は、発信者が持っています。そのため、発信者の画像や動画、文章は勝手に活用できません。DMを送信したり、UGC活用ツールを利用したりして、発信者に許可を得てからUGCマーケティングを行いましょう。
薬機法・景表法に抵触していないか確認する
第三者によるUGCだとしても、Webサイトや広告に掲載するUGCは、企業の表現物として扱われます。そのため、薬機法や景品表示法に抵触していないかどうかを確認しなければなりません。
まとめ
UGCマーケティングとは、インターネット広告の発展に伴い、注目度を高めたマーケティング手法です。制作コストを抑えて、質の高いコンテンツを大量発信できることなどが、UGCマーケティングのメリットといえます。
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