既存顧客にアプローチする「リテンションマーケティング」とは?効果や手法を分かりやすく解説

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新規顧客の獲得に課題を感じているものの、予算面の問題などにより、有効な施策を打ち出せない企業も多いです。そのような場合は、既存顧客にアプローチする、費用対効果が高い「リテンションマーケティング」を重視しましょう。

この記事では、リテンションマーケティングの概要、リテンションマーケティングの効果や手法、実施の流れを分かりやすく解説します。

リテンションマーケティングとは

リテンション(retention)とは、英語で「保持」「維持」を意味する言葉です。つまり、リテンションマーケティングとは、既存顧客との良好な関係を維持し、リピート化や長期契約の締結を目指すマーケティング施策を指しています。

リテンションマーケティングが注目されるようになった背景

リテンションマーケティングの注目度が高まっている理由は、新規顧客獲得よりも顧客維持を優先したほうが、売上につながりやすいとの見方が広がっているためです。

日本国内の人口は、12年連続で減少しています。人口減少は新規顧客の減少を意味しており、母数の減少に伴い、新規顧客の獲得が難しくなりました。このため、既存顧客へのアプローチの重要性が増しています。

さらにSNSが浸透し、顧客みずからが情報発信を行う時代になったことも、リテンションマーケティングが重視されるようになった理由のひとつです。顧客と良好な関係を築くことにより、企業にとってポジティブな情報を発信してくれる可能性があります。

リテンションマーケティングのメリット・効果

リテンションマーケティングにより期待できるメリットや効果は、主に4つです。

既存顧客へのアプローチは費用対効果が高い

新規顧客獲得と比較すると、リテンションマーケティングは費用対効果が高い施策です。

マーケティングにおいて重視される考え方のひとつに「1:5の法則」があります。1:5の法則とは、新規顧客獲得にかかるコストは、既存顧客維持と比較して5倍になるという法則です。

新規顧客獲得に向けては、自社サービスの認知に始まり、興味・関心を引くためのナーチャリング活動が必要になるなど、多額のコストが発生します。一方、既存顧客はすでに自社サービスを認知し、興味・関心を抱いているため、再購入や再契約にかかるコストを抑えやすいのです。

既存顧客のLTV向上につながる

リテンションマーケティングを行い、自社サービスや商品の再購入・再契約を促すと、既存顧客のLTV向上につながります。LTVとは「顧客生涯価値」を意味する言葉で、顧客1人あたりが取引開始から終了までの期間にもたらす、トータルの利益を表します。

イタリアの経済学者ビルフレッド・パレートは「20%の優良顧客が企業全体の約80%の売上をもたらす」という「パレートの法則(2:8の法則)」を提唱しました。このことからも、リテンションマーケティングによるLTV向上は、企業にとって重視すべきポイントであることが分かります。

離反顧客・休眠顧客の掘り起こしにつながる

離反顧客・休眠顧客とは、過去に自社を利用した経歴があるものの、その後は一定期間にわたり購入や利用がない顧客のことです。リテンションマーケティングを行うと、離反顧客・休眠顧客を掘り起こし、再利用を促せる可能性があります。

なぜ自社の利用をやめるようになったのか、ボトルネックとなる原因を見つけて解決策を提示することにより、離反顧客・休眠顧客を優良顧客へと反転させられる場合があります。

一例として「商品の使い方が分からない」「サービスを使いこなせない」といった原因で、離反顧客・休眠顧客化したとしましょう。この場合は「カスタマーサポートを強化する」「活用事例を分かりやすく配信する」といった施策により、利用意欲を向上させられる可能性が高いです。

新規顧客の獲得につながる

リテンションマーケティングの結果、新規顧客を獲得できる可能性もあります。既存顧客のロイヤルティを高めることにより、ポジティブな口コミが発生しやすくなるためです。

先述したように、現代ではSNSを通じて、商品やサービスの情報を発信する顧客が増えています。また、同業者の口コミを頼りに、購入する商品やサービスを決める企業も少なくありません。既存顧客を大切にすることにより、顧客が顧客を生み出してくれる可能性があります。

【4Step】リテンションマーケティング実施の流れ

リテンションマーケティングは、現代の日本社会において重要な施策です。リテンションマーケティングの実施を検討されている担当者の方に向けて、リテンションマーケティング実施の流れを、4つのステップに分けてご紹介します。

Step1:顧客データを収集・分析する

リテンションマーケティングの効果を高めるためには、既存顧客のについて深く知ることが重要です。効果的な施策は顧客の属性に応じて異なるため、顧客の「年齢層」「家族構成」「購入頻度」などのデータを収集し、属性ごとに分類して分析しましょう。

ツールの導入により、データ収集と分析を効率化できます。顧客の情報を一元管理してニーズを把握できる「CRMツール」や、自社の顧客情報を活かして、一人ひとりに最適化した提案を行う「DMP」の活用も検討しましょう。

Step2:KPIを明確にする

顧客を分析するうえで重要なのは、KPI(成果指標)の明確化です。リテンションマーケティングでは、「リテンションレート(既存顧客維持率)」と「ユニットエコノミクス」のKPIが特に役立ちます。

リテンションレートとは、企業が獲得した新規顧客に対する既存顧客の割合を示しており、「継続顧客数÷新規顧客数×100」で割り出せます。リテンションレートを定期的に算出し直すことにより、リテンションマーケティングが適切に行われているかどうかを判断することが可能です。

ユニットエコノミクスは、先述したLTVと、CAC(顧客獲得単価)を組み合わせた指標で、「LTV÷CAC」で算出できます。

Step3:分析をもとに顧客に最適な施策を立案する

ここまでに分析した情報をもとに、顧客ごとに最適化した施策を立案します。たとえば休眠顧客に対しては、クーポンの発行や目玉商品の訴求といった施策が有効でしょう。自社で保有する顧客情報を整理できるDMPを活用すると、効率的に顧客ごとの最適な施策を割り出せます。

Step4:施策を実行し、効果測定・改善を行う

施策の実行後は、先述したリテンションレートも確認しながら、効果測定と改善を行います。顧客の属性や購入履歴を効率良く管理して分析できるCRMツールは、施策の改善や修正に向けて大いに役立つでしょう。

リテンションマーケティングの具体的な手法

リテンションマーケティングの手法は、主に7種類です。自社に適した手法を見極めて、マーケティングに取り入れましょう。

メール配信

既存顧客に向けて、メールマガジンを配信します。割引やキャンペーン情報のほか、サービスの使い方なども配信できることが特徴です。一斉配信が可能なため、企業と顧客の接点を簡単に生み出せます。

SNS

企業の公式アカウントから、SNSを通じて情報を発信する手法です。無料で自社の宣伝ができることに加えて、口コミを残している顧客へのお礼もできます。

レコメンド

既存顧客に対して、関連する商品やおすすめのサービスを紹介する手法です。リピートを促すことにより、顧客単価の向上にもつながります。

プッシュ通知

PCやスマートフォン上で通知設定をONにしている顧客に向けて、お得な情報を通知する手法です。ただし、自社アプリをインストールするよう誘導する必要があります。

リテンション広告

既存顧客や休眠顧客に向けて提示する広告が、リテンション広告です。WEBサイトの下部や側面、動画の合間に流れる広告などを活用すると有効で、プッシュ通知をOFFにしている顧客にも効果があります。

カスタマーサポート

顧客の疑問や質問に答える手法です。「お問い合わせフォーム」の設置がかつての主流でしたが、現在は問い合わせのハードルが低く、素早くリアクションできる「チャットボット」の設置を進める企業が増えています。

カスタマーサクセス

顧客の疑問や悩みを解消し、成功に導く手法です。カスタマーサポートとは異なり、企業側が能動的に顧客の課題解決に乗り出します。

まとめ

人口減少が続く日本では、既存顧客へのアプローチを深めるリテンションマーケティングが重要視されています。リテンションマーケティングは費用対効果が高く、成功すると企業の売上を大幅に向上させられるでしょう。CCMLABOの運営会社「アイビーシステム」では、リテンションマーケティングの考え方も踏まえた業務のご提案で、貴社の売上アップに貢献します。

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