実店舗では、店員が顧客に合った商品をおすすめできますが、ECサイトでは顧客に判断を仰がなければなりません。しかし、AIの登場によってその常識が覆され、「AIレコメンド」の活用によって、顧客に合った商品を自動的におすすめできるようになりました。
今回は、AIレコメンドの種類や導入するメリット・注意点、AIレコメンドの導入にかかる費用についてご紹介します。この記事を読めば、AIレコメンドの仕組みや、AIレコメンドが自社ECサイトに与える影響が分かりますよ。
もはやECサイトの常識?AIレコメンドとは
レコメンド(Recommend)とは、勧めるまたは推薦するといった意味を持つ言葉です。ECサイトを利用していると、閲覧している商品の関連商品などが「おすすめ」として表示されることがあります。これを実現させるシステムが「レコメンドエンジン」です。
AIレコメンドは、おすすめの商品・サービスをAIが自動的に分析して、顧客に提示します。顧客の商品購入履歴や閲覧・視聴履歴など、あらゆるデータをAIが自動分析するアルゴリズムを用いて、解析結果を顧客に提示するのがAIレコメンドの仕組みです。
AIレコメンドの主な種類・仕組み
AIレコメンドには、先述したアルゴリズムが用いられていますが、その設定により表示結果は大きく異なります。この項目では、AIレコメンドの種類や仕組みを簡潔にご紹介します。
ルールベースレコメンド
特定の行動をとったユーザーに対して、あらかじめ決定した情報を提供するアルゴリズムです。たとえば「蕎麦」の画面を閲覧しているユーザーに「麺つゆ」をおすすめできるように設定します。
コンテンツベースフィルタリング
商品のカテゴリと、ユーザーの好みを組み合わせた分析により、おすすめを表示するアルゴリズムです。商品を各カテゴリに振り分け、そのカテゴリの商品を購入する人が、ほかにどのような商品を購入しているのかを分析しておすすめを表示します。
協調フィルタリング
閲覧履歴や購買履歴からユーザーの特徴を分析して、同様の特徴を持つユーザーが同時に購入する商品、もしくは頻繁に購入する商品をおすすめするアルゴリズムです。協調フィルタリングは、アイテムベースとユーザーベースの2種類に分かれます。
アイテムベース
同じ商品を購入したユーザーが好む商品をおすすめするアルゴリズムです。Amazonで「この商品を購入した人は、この商品もあわせて購入しています」と表示されるレコメンドや、YouTubeの自動再生で視聴者の趣味に合った動画を再生する機能が、アイテムベースに該当します。
ユーザーベース
特定のユーザーが好む商品をおすすめするアルゴリズムです。「あなたに似たユーザーは、この商品も購入しています」というようにレコメンドします。関連する投稿から、Instagramのハッシュタグを自動的に選定するAIレコメンドも登場しています。
ハイブリッドフィルタリング
複数のフィルタリング技術を組み合わせたアルゴリズムです。それぞれのアルゴリズムが持つメリットを掛け合わせ、弱点を補い合うことにより、AIレコメンドの質をさらに高められます。ハイブリッドフィルタリングは、Netflix社などが活用しています。
ECサイトにAIレコメンドを導入するメリット
AIレコメンドがECサイトにもたらすメリットは、大きく2つです。顧客にとって、より便利で豊かな購買体験を提供することにより、顧客満足度の向上も見込めます。2つのメリットを順番に見ていきましょう。
クロスセル・アップセルにつながる
クロスセルでは、顧客が興味を持つ可能性が高い関連商品の提供により、売上の向上につなげられます。たとえば、著名な作家の小説を購入した顧客に対して、同じ作家による小説をおすすめします。
アップセルでは、顧客が購入を検討している商品よりも、高機能・高価格の商品をおすすめする機能です。顧客の購買履歴から、高価格帯の商品にニーズがあるかどうかをAIレコメンドが判断します。ニーズに合致する場合は別の商品を提案し、平均購買価格の増加を実現させます。
CS(顧客満足度)の向上につながる
AIレコメンドの活用により、顧客ごとに個別化された購買体験を提供できます。実店舗に近いサービスを提供することが、顧客満足度の向上につながります。自社のECサイトが繰り返し利用される確率が上がり、リピーターの獲得も実現させられるでしょう。
ECサイトにAIレコメンドを導入する際の注意点
AIレコメンドを活用するメリットは多いものの、導入時にはいくつかの注意点もあります。費用対効果を見込めるかどうかを確認したうえで、AIレコメンドを導入すべきかどうかを検討しましょう。
導入に時間がかかる
AIレコメンドの有効活用には、顧客情報の収集が不可欠です。十分な情報を蓄積させるまでの間は、AIレコメンドの精度が低く、顧客が求める商品や情報を提案できない場合があります。このため、高精度なAIレコメンドの導入には、時間がかかりがちなことに注意しましょう。
商品が少ない場合は、費用対効果が低くなる
AIレコメンドが有効なのは、ECサイト内で取り扱っている商品が多い場合です。商品数が少ない場合、ユーザーが自力で関連商品を検索できるため、AIレコメンドがあまり効力を発揮しません。自社の規模やECサイトの運用目的を整理し、現状でAIレコメンドが必要かどうかを検討しましょう。
定期的にメンテナンス・ブラッシュアップする必要がある
AIレコメンドは、導入した段階で完成するものではありません。精度を高めるためには、定期的に顧客情報を見直しながら、ブラッシュアップする必要があります。メンテナンス中は、AIレコメンド機能を利用できなくなるため、ECサイトへのアクセスが少ない時間帯を分析することも重要です。
AIレコメンド導入にかかる費用の目安
AIレコメンドの導入にかかる費用は、初期費用と月額費用の2種類です。低価格を売りにするサービスと、機能性の高さを売りにするサービスで費用が異なります。それぞれの予算相場は、以下のとおりです。
【AIレコメンドの導入にかかる費用の目安】
低価格サービス | 高機能サービス | |
初期費用 | 0円~10万円 | 10万円~20万円 |
月額料金 | 0円~5万円 | 5万円~20万円 |
月額料金は、従量課金制となる場合があります。ECサイトの規模や目的に応じて、導入するAIレコメンドの種類を選びましょう。
まとめ
AIレコメンドとは、ユーザーごとのデータを分析し、顧客に合った商品やサービスを自動的に訴求する機能です。AIレコメンドの導入により、クロスセル・アップセルや、顧客満足度の向上につながります。
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