BIツールは、データ収集・分析によって、経営の意思決定をサポートするツールです。多くの会社がBIツールを提供していますが、何を基準にして自社で使うBIツールを選ぶと良いのでしょうか。今回は、BIツールを選ぶポイントやおすすめのBIツール7選をご紹介します。
BIツールとは
BI(Business Intelligence)ツールとは、社内に蓄積されたあらゆるデータを収集・分析するツールです。BIツールを導入することにより、部署や担当者が別々に持つ情報をひとまとめにでき、意思決定の確度を高めることやマーケティングなどの戦略策定に活用しやすくなります。
BIツールでできることは、主に以下の4点です。
【BIツールでできることの一覧表】
機能 | 内容 |
レポーティング | 社内データを収集し、グラフや表などで可視化して共有する機能 |
OLAP分析 | 社内データを分析し、結果を表示する機能 |
データマイニング | 社内データを統計し、有効なパターンと傾向を分析する機能 |
プランニング | 過去の実績を分析し、予算計画などに活かせる数値をシミュレーションする機能 |
また、BIツールは以下のような場面で活用できます。
<BIツールを活用できる主な場面>
- 会社全体、もしくは部門ごとのKPI分析
- 管理会計分析
- PV数やCV数の可視化
- 顧客分析
- 生産ラインなどの稼働状況の分析
- 市場規模や動向の分析など
たとえばレポーティング機能では、必要なデータを可視化したうえで経営・現場の双方に共有できるため、KPIなどのパフォーマンスチェックを行うことが可能です。
BIツールの比較ポイント・選び方
BIツールの比較ポイントと選び方を、6つのポイントに分けて解説します。後ほどご紹介する7つのBIツールはいずれも優秀なツールですが、それぞれ特徴や持ち味が異なります。以下のポイントをチェックしながら、自社に最もマッチするツールを選択しましょう。
自社の業務システムに対応しているか
まず確認すべきことは、自社の業務システムに対応できるかです。BIツールでデータを分析・可視化するには、BIツールと各種システムを連携させるか、ETLやDWHといったツールが必要になります。
【ETL、DWHとは】
ETL | DWHに格納するデータを収集し、データを変換・加工する |
DWH | 時系列に保管・管理をするシステム |
自社にETLやDWHといったツールがある場合は、対応しているかを確認しましょう。対応していない場合は、ETLやDWHが一緒に提供されているBIツールの利用がおすすめです。
自社に合った導入形態か
BIツールの導入形態は、以下の3つに分かれます。
【BIツールの導入形態】
クラウド | インストールの必要がなく、コストも抑えられる |
デスクトップ | 個人のPCにインストールし、オフラインでも使用できる |
オンプレミス | サーバーにインストールし、独自に設定を行える |
それぞれ特徴が異なるため、自社に合ったものを選びましょう。
自社に合ったデータの取り込み方法か
データの取り込み方法にも、注目する必要があります。とくにデータベースの操作や命令を行うスクリプト(SQL)が必要なのか、それともWebブラウザの操作のみのノンプログラミングで利用できるのかといった点を確認しましょう。
必要な機能が過不足なく揃っているか
備わっている機能と特徴は、BIツールごとに異なります。自社の求める機能が搭載されているか、反対に絶対に使わない機能が無駄に付帯されていないかなどを確認しましょう。
予算に合った料金か
利用するBIツールによって、料金体系が異なります。ユーザー数に応じて変動するものから、ユーザー数に制限が設けられていないタイプのものもあるため、自社の予算に合ったものを選びましょう。
手厚いサポート体制か
BIツール導入後は、情報管理体制や業務プロセスなどが大きく変化します。操作方法やシステム連携などで混乱した際に、必要なサポートを受けられるかどうかも重要なポイントです。日本語対応の可否などについても確認しておきましょう。
主要BIツールの比較表
主要BIツール10社を比較します。
【主要BIツール10社の比較表】
ツール名 | Tableau | Actionista! | Sisense | Domo | Microsoft Power BI | Qlik Sense | Google Data Portal | Yellowfin | LaKeel BI | Zoho Analytics |
対象となる企業規模 | 問わない | 大企業 | 問わない | 問わない | 問わない | 問わない | 問わない | 中小企業 | 大企業 | 問わない |
初期費用 | - | - | - | - | 無料 | - | 無料 | - | - | 無料 |
月額費用 | 15~70ドル | - | - | - | 1,090円~2,170円 | 30ドル~ | 無料 | - | - | 無料~54,600円 |
提供形態 | ソフトウェア | オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド、デスクトップ、オンプレミス | クラウド、デスクトップ、オンプレミス | クラウド | クラウド、デスクトップ、オンプレミス | クラウド、オンプレミス | クラウド、オンプレミス |
機能 | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング | レポーティング、OLAP、プランニング | レポーティング、OLAP、プランニング | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング | レポーティング、データマイニング、プランニング | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング | レポーティング | レポーティング、OLAP、プランニング | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング |
特徴 | ビジュアル化に強い | 日本語サポートが充実している | ノンプログラミングで利用できる | データ連携とデータ管理に強い | Officeシリーズとの相性が良い | AIによる自動分析に強い | 基本的に無料で利用できる | 自動アラートや分析に強い | 豊富なテンプレートが用意されている | Zoho CRMなどのシリーズと連携しやすい |
この中から、とくにおすすめできる7つのBIツールを深掘りして解説します。
おすすめBIツール7選
先ほどご紹介した10個のBIツールの中から、とくにおすすめできる7つのBIツールを深掘りしてご紹介します。特徴を確認しながら、自社に合ったBIツールを見つけましょう。
機能が充実している「Tableau(タブロー)」
Tableauは、機能が充実したBIツールです。
【Tableauの概要表】
ツール名 | Tableau |
対象となる企業規模 | 問わない |
初期費用 | - |
月額費用 | 15~70ドル |
提供形態 | ソフトウェア |
機能 | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング |
特徴 | ビジュアル化に強い |
データ分析からデータ管理まであらゆる機能が充実しており、ダッシュボード数は数百万にも及びます。ビジュアル化に強いことも特徴的で、分かりやすさ・使いやすさに秀でているため、世界中で指示されているBIツールです。
データ分析に強い「Actionista!(アクショニスタ)」
データ分析に強いことが、Actionista!の特徴です。
【Actionista!の概要表】
ツール名 | Actionista! |
対象となる企業規模 | 大企業 |
初期費用 | - |
月額費用 | - |
提供形態 | オンプレミス |
機能 | レポーティング、OLAP、プランニング |
特徴 | 日本語サポートが充実している |
データ集計や分析、レポーティング業務のサポートに優れたBIツールです。ノンプログラミングで利用でき、とくにDXを推進する基盤のツールとしての役割を果たします。また、日本語サポートが充実していることも特徴的です。
データ管理に強い「Sisense(サイセンス)」
データ管理の強さが、Sisenseの特徴です。
【Sisenseの概要表】
ツール名 | Sisense |
対象となる企業規模 | 問わない |
初期費用 | - |
月額費用 | - |
提供形態 | クラウド |
機能 | レポーティング、OLAP、プランニング |
特徴 | ノンプログラミングで利用できる |
ノンプログラミングでデータ管理ができ、AIや機械学習にも対応しています。企業内でちらばっているデータの整備に役立つ機能が豊富に備えられており、カスタマイズ性にも長けたBIツールです。
データ連携に優れている「Domo(ドーモ)」
データ連携を重視する場合は、Domoがおすすめです。
【Domoの概要表】
ツール名 | Domo |
対象となる企業規模 | 問わない |
初期費用 | - |
月額費用 | - |
提供形態 | クラウド |
機能 | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング |
特徴 | データ連携とデータ管理に強い |
数百ものAPIでデータ連携を行い、チャットやコミュニティなどでのやり取りを容易にできます。全社的なデータ活用に課題を残している企業にとって、価値あるBIツールと言えるでしょう。
Officeシリーズと連携しやすい「Microsoft Power BI(パワービーアイ)」
Officeシリーズと連携しやすいBIツールなら、Power BIが最適です。
【Microsoft Power BIの概要表】
ツール名 | Microsoft Power BI |
対象となる企業規模 | 問わない |
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 1,090円~2,170円 |
提供形態 | クラウド、デスクトップ、オンプレミス |
機能 | レポーティング、データマイニング、プランニング |
特徴 | Officeシリーズとの相性が良い |
操作性としてはExcelに近く、BIツールの操作に慣れている人でも使いやすいことが特徴的です。月額費用も安いため、BIツールをテスト的に導入したい場合に利用しても良いでしょう。
高度な技術を活用した分析ができる「Qlik Sense(クリックセンス)」
Qlik Senseの特徴は、AIなど高度な技術を活用した分析ができることです。
【Qlik Senseの概要表】
ツール名 | Qlik Sense |
対象となる企業規模 | 問わない |
初期費用 | - |
月額費用 | 30ドル~ |
提供形態 | クラウド、デスクトップ、オンプレミス |
機能 | レポーティング、OLAP、データマイニング、プランニング |
AI、機械学習、自然言語処理といったテクノロジーを使って、分析を進めることが可能です。無料版のQlik Sense Desktopも提供されています。
基本的に無料で使える「Looker Studio(ルッカースタジオ) 旧Google Data Portal(データポータル)」
Google Date Portalは、初期費用・月額料金のいずれも基本的に無料です。
【Looker Studioの概要表】
ツール名 | Looker Studio 旧Google Data Portal |
対象となる企業規模 | 問わない |
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
提供形態 | クラウド |
機能 | レポーティング |
特徴 | 基本的に無料で利用できる |
やや簡易的ではあるものの、Googleアナリティクスなどとの連携がしやすく、マーケティングに便利です。また、ダッシュボード機能の使いやすさにも定評があります。
まとめ
BIツールとは、データ収集・分析によって経営の意思決定をサポートするツールです。多くの企業によりサービスが提供されているため、予算や導入形態、サポートの有無などを確認しながら、自社に合ったBIツールを選びましょう。
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