コールセンターの質を高めるためには品質管理が重要ですが、具体的にどのようなことをやっていけば良いのでしょうか。難しい単語や仕組みが多いので、1つずつ理解しながら効果的な方法を探っていくことが大切です。
今回は、品質管理の際に押さえておきたいポイントや、応対品質を向上させる方法について解説します。品質管理を適切に行い、顧客満足度の向上を目指しましょう。
コールセンターの品質管理とは
コールセンターの品質管理とは、後述する「接続品質」や「応対品質」のモニタリングを実施して評価し、会社が目指す基準への向上・維持を目指すものです。品質管理を行っている人は会社によって異なり、SVや役職が兼務することもあれば、専門企業に外部委託することもあります。いずれにせよ、コールセンターの品質管理を行うことで、顧客満足度(CS)を向上させることが可能です。
多くの顧客は、商品やサービスに不満・疑問を感じた際にコールセンターを利用しますが、このときの対応が適切に行えていなければ企業への好感度は下がります。逆に、適切な対応ができていれば顧客離れの防止につながり、売上の減少を食い止めることができます。
コールセンターが管理すべき2つの品質
コールセンターが管理するのは主に「接続品質」と「応対品質」の2つです。接続品質が良くても応対品質が悪ければ良好な状態とはいえず、その逆もまた然りです。ここからは、それぞれの品質について詳しく解説していきますので、バランスの良い改善を目指しましょう。
接続品質
接続品質とは電話のつながりやすさのことを指します。コールセンターを利用する顧客は可能な限り早く応対を受けたいと考えるため、長時間待機させてしまうのは厳禁です。機会損失を抑えるためにも、接続品質の維持・向上は重要なポイントといわれています。
接続品質に関する指標は主に3つあるので、以下の表でチェックしてみましょう。
【接続品質に関する指標の一覧表】
指標 | 定義 |
CPH(Call Per Hour:平均対応件数) | 1時間あたりにオペレーターが対応した件数 |
ATT(Average Talk Time:平均通話時間) | 1コールあたりの平均通話時間 |
AHT(Average Handling Time:平均処理時間) | ATTとACWを合算した時間の平均値 |
ACW(After Call Work:平均後処理時間) | 通話を終えた後のオペレーターの平均業務時間 |
CPHが多く、ATTが短ければ効率よく業務を行えていることがわかります。AHTとACWに関しては、いずれも低い数値の方が効率的と評価できるでしょう。
ただし、これらの数値だけではコールセンターの質を評価できません。雑な応対をしたからこそ良い数値が出ている可能性もあり、後述する「応対品質」と併せて評価する必要があります。
応対品質
応対品質は、オペレーターによる対応の質のことです。接続品質が良くても、対応品質が悪ければ「雑な応対だった」「適当に扱われた」といった印象を持たれかねません。以下の指標を重視しつつ、接続品質と併せて対応品質も維持・向上する必要があります。
【応対品質に関する指標の一覧表】
指標 | 定義 |
モニタリングスコア | 顧客対応をモニタリングし、品質をスコア化したもの |
ありがとう率 | 応対時に顧客が「ありがとう」と言った回数や比率 |
クレーム率 | 応対時の内容が顧客からのクレームだった回数や比率 |
NPS(顧客ロイヤリティ) | 商品やサービスに対する顧客のロイヤリティを数値化したもの |
CD(顧客感動) | 顧客の期待を上回る応対を行った回数や比率 |
「ありがとう率」や「クレーム率」はその場で計測できますが、そのほかの指標はシステム化を行ったり、アンケートなどで調査を行ったりして計測します。いずれも顧客満足度を向上させるためのヒントにつながる指標なので、自社に合った手段を用いて計測しましょう。
コールセンターの品質管理を行う5つの方法
コールセンターの品質管理を行うための方法は主に5つあります。顧客に対する接し方の実態を把握したり、NPSやCDを調べたりするためには、あらゆる角度からの検証が必要です。担当者の配置が難しい場合は、外部への委託も選択肢に加えながら品質管理を進めましょう。
モニタリングを行う
オペレーターの対応をモニタリングして分析し、改善点をフィードバックします。モニタリングはQA(Quality Administrator)と呼ばれる職種が担うことが一般的です。このモニタリングで調査するのは、主に「オペレーターの話し方や言葉遣いが丁寧か」「オペレーターが話すスピードは聞き取りやすいか」「顧客からの反応はどうなのか」の3点です。
優秀なQAを配置し、適切なタイミングでフィードバックすることにより、オペレーターの応対品質が高まります。実際にオペレーターとして優れた実績を残した人物や、品質管理の経験を持つ人物をQAに起用すると良いでしょう。
ミステリーコール(覆面調査)を行う
ミステリーコール(覆面調査)は、その名のとおり正体を明かさずに問い合わせやクレームの電話を自社のコールセンターに入れることです。ミステリーコールをすることでオペレーターの経験値を高められるほか、顧客に対する接し方の実態も把握できます。
アンケート・インタビュー調査を行う
コールセンターを利用した顧客にアンケート・インタビュー調査をすることで、NPSやCDといった指標を把握できます。アンケート・インタビュー調査は受電と同時に行わず、後日メールなどの手段を用いて協力を求める形で収集しましょう。
品質管理の担当者を配置する
先述したQAをはじめとする品質管理の担当者を配置しましょう。指導に専念する人物を配置することで、オペレーター間で生じがちなスキルのバラつきが改善されます。また会社全体の方針を浸透させることにより、応対内容の統一化を図ることも可能です。
外部に委託する
社内に適切な担当者が在籍していない場合は、作業を外部に委託することをおすすめします。品質管理の専門家に分析・指導を一任することで、コールセンター全体がレベルアップすることになるでしょう。また、新規雇用のコストや、人材育成にかかる時間を削減できることもメリットです。
コールセンターの応対品質を向上させる方法
コールセンターの応対品質を向上させる方法は主に2つあります。地道な作業を求められますが、コールセンターの応対品質の向上は自社のイメージアップに欠かせない施策のひとつなので、責任を持って取り組みましょう。
継続的にモニタリングし、オペレーターにフィードバックする
モニタリングとフィードバックは、一度だけでなく継続的に繰り返すことが大切です。この工程の中でノウハウが蓄積され、より最適な応対方法が見つかるケースも少なくありません。
オペレーター向けFAQを整備する
オペレーター向けFAQを整備することで、顧客からの問い合わせに対し、的確な対応・回答ができるようになります。顧客満足度の向上だけでなく、業務の効率化も実現できることもFAQを整備するメリットです。
まとめ
今回はコールセンターの品質管理を行うことのメリットや、品質管理の向上のために実践すべき方法について解説しました。難しい言葉もたくさん出てきますが、まずは「接続品質」と「応対品質」の2点を高めることから始めましょう。また、「適切な担当者が社内にいない」「取り組んだけどなかなか改善されない」という場合には、プロフェッショナルを擁する会社に委託することをおすすめします。
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