コールセンターの生産性を劇的に向上させるリアルモニタリングとは?メリットと具体的な方法を解説

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 CCMLABOの運営会社アイビーシステムが長年の実績の中で導き出したノウハウの1つにコールセンターの生産性を劇的に向上させるリアルモニタリング、というものがあります。

 リアルモニタリングとはどのような施策なのでしょうか。今回はリアルモニタリングのメリットや具体的な方法、実践するための課題と解決方法まで、詳しく解説していきます。

コールセンターの生産性を劇的に向上させるリアルモニタリング

リアルモニタリングとは

 リアルモニタリングとはその名の通りコールセンターに掛かってきたお客様とエージェント(コールセンターのオペレーターのこと、以下AG)の通話をスーパーバイザー(コールセンターの管理者のこと、以下SV)などがリアルタイムで対話を聴くことです。

リアルモニタリングはどんな時にするの

 顧客応対中で通話時間が長かった場合など、エージェントが困っているのではないか?クレームが発生しているのではないかと案じて、通話をモニタリングするケースが多いです。時にはエージェントからモニタリングをして欲しいとの要求がある場合もあります。

リアルモニタリングの4つのメリット

リアルタイムにトークを改善できる

 リアルモニタリングの最大のメリットは、応対中にSVがアドバイスすることでリアルタイムにトークを改善できる点です。たとえば、コールセンターには購買意欲があるものの、注文しようか悩んでいるお客様からのお電話が入ってきます。この電話の応対には、お客様の懸念点を払拭し確実に注文いただくといった目的がありますが、経験の浅いAGが対応するとコミュニケーションがうまくいかず、目的を達成できないことがあります。リアルモニタリングを通じて、SVがその場でアドバイスできれば、商品の問い合わせ時に不明点を丁寧に説明することで不安を払拭して確実に注文につなげたり、お客様のニーズに合わせて最適な商品の組み合わせを薦めたりすることで1件1件の応対で目的を達成できるようになり、コールセンターとしての品質向上にダイレクトにつながります。

クレームを未然に防ぐ

 2つめのメリットは、クレームを未然に防ぐことができる点です。コールセンターの応対は顔の見えない電話のコミュニケーションになるため、ちょっとした会話の行き違いからクレームが発生してしまうこともあります。お客様側の求めている答えを適切に返せなかったり、表現方法に配慮が足りなかったりすることが原因ですが、知識・経験の浅いAGに常に完璧な回答を求めることには無理があります。リアルモニタリングでSVがマニュアルの該当箇所を教えたり、言い換え表現をアドバイスすることで、AGを孤立させず、応対の品質を高めることができるため、クレームを未然に防ぐことができます。

AGの成長速度が上がる

 3つ目のメリットは AGの成長速度が上がる点です。リアルモニタリングでは、AGが応対しているその場で同じやりとりを聞いているため、応対終了後すぐにフィードバックすることができます。AGもうまくいった点、うまくいかなかった点それぞれを記憶が新しいうちにフィードバックしてもらえるので、納得して改善することができるようになりコーチングのサイクルがうまく回るようになります。

 反対にリアルモニタリングをしない場合、録音した音源を業務終了後にSVが確認し、改善点をまとめて、研修等を行うことでAGにフィードバックしますることになりますが、応対から時間が空きすぎていて記憶が曖昧になり、自分の課題に対するフィードバックというより一方的に改善指示を受けるティーチングのような形式になってしまいます。

 リアルモニタリングを通じて、コーチングのサイクルを増やす方が、まとめて多くの改善事項を指示されるより、AGの成長速度が上がります。

応対1件1件の集中力が高まる

 4つめのメリットは、モニタリングされていることをAGが意識することで、適度な緊張感を持って業務に取り組むことができる点です。毎日多くのお客様に応対するコールセンターで、常に集中力を保つには工夫が必要です。リアルモニタリングを実施することでAGに適度な緊張感が生まれ、集中力を途切れさせず応対を続けることができます。ただ、緊張状態が長く続くと疲弊してしまうため、休憩時間等にリラックスできるような工夫をセットで導入することも必要です。

リアルモニタリングの具体的な方法

通話を聞く

 コールセンターには、管理者が入電状況を把握するCMS(customer management systemの略)というシステムが導入されており、SVが通話を同時に聞くことができる機能が搭載されているケースがほとんどです。リアルモニタリングではSVがその機能を使用して応対中のAGの通話の音声を聞き、どのようなやりとりがなされているのかをモニタリングします。

チャットでアドバイス

 ただ応対中の音声を聞くだけではリアルモニタリングの意味がありません。お客様とAGの対話を聞いていて、説明が足りなかったり、お客様が理解していなかったりした場合には、チャットツールを使ってAGにアドバイスを出します。言い回しのアドバイスを出すこともあれば、マニュアルの該当箇所を示してAGの応対をサポートすることもあります。

応対完了直後に改善点をフィードバック

 応対完了後にその場でAGに対してフィードバックを実施します。リアルモニタリングのメリットで挙げたように、その場でフィードバックをすることでコーチングサイクルがうまく周り、AGの応対がどんどん上達していきます。

リアルモニタリングを実践するには

効果があると分かっていてもリアルモニタリングを実践できない理由

ここまで解説してきたように、多くのメリットがあるリアルモニタリングですが、コールセンターの現場では簡単に実践できない理由があります。その理由はSVの工数不足です。リアルタイムであるがゆえに、当然早送りや2倍速の再生ができず、AGの応対と同じ時間をSVがリアルモニタリングに割くことになります。毎日AG1人ひとりの応対を1件ずつモニタリングするだけでも、業務の多くの時間をリアルモニタリングに当てる必要が出てきます。コールセンターの管理者は複数のタスクを抱えて多忙な場合が多く、リアルモニタリングに時間を割けないのが実情であると言えます。ここでSVはどのような業務を実施しているのか簡単に解説します。

SVの業務① オペレーターの育成

 新人スタッフの教育やOJT、定期的な集団研修などの企画をSVが担います。また、スタッフが使用する業務マニュアルを作成するのもSVの仕事です。

SVの業務② オペレーターのシフト作成・勤怠管理

 SVはチーム内のスタッフのシフト作成や勤怠管理を行います。同時にスタッフの出勤状況・残業時間を随時チェックし、体調不良やメンタル面での不調が見られないか目を凝らします。

SVの業務③ AGだけでは手に負えない応対のフォロー

 AGだけでは対応しきれないクレームなどへの最終的なフォローは、SVが行います。手挙げ対応などとも言われ、AGがSOSを発した時に、フォローに入れるようにスタンバイしておく必要があります。

SVの業務④ コールセンターの業務管理・報告

 チームの業務管理や報告といったデスクワークも、SVの重要な仕事です。掲げた目標を達成するための企画の提案や実行、スタッフの対応品質のチェック、センター長など上司への利益・損失の報告などを行います。

リアルモニタリングを実践するためのSV業務DX

 リアルモニタリングを実践するには、SVの業務負荷を軽減し、リアルモニタリングに当てる工数を捻出する必要があります。日々多忙なSVですが、クライアントに向き合う業務管理・報告業務に割く時間の比率が最も高くなります。そこで、SVの業務をデジタルツールの力で効率化するDXを実施することが、コールセンターの生産性を劇的に向上させるリアルモニタリング実践の鍵になります。ここでは、SV業務のDX例を解説していきます。

シフト作成の効率化 | シフト管理のデジタル化・調整AIの導入

 AGのシフト作成と勤怠管理をシステム化することで、シフトの申請、集約、タイムカード打刻等の紙の運用をなくし、業務を効率化することができます。また、最近では最適なシフトの案を自動で作成し、SVはチェックするだけで良いというAIも生まれてきています。システムやAIを駆使することでSVの業務負荷を減らすことができます。

報告業務の自動化 | BIツール・ダッシュボードの導入

 SVの業務のうち多くの割合を占めるクライアントへの日々の報告作業もDXで自動化することが可能です。具体的には、BIツール(ビジネスインテリジェンスツール:データをグラフ等で可視化し業務や意思決定に示唆を与えるツール)を導入して報告書の内容をダッシュボード化し、業務データを連携させておくことで、報告書を作らなくてもクライアントがBIツールを見るだけで業務の進捗がわかるようになります。SVは報告業務の工数を削減でき、クライアントは報告を待つ必要がなくなるため、両者にとって効率化につながる施策となります。

まとめ

 リアルタイムモニタリングには多くのメリットがあります。しかし、実践するためには、日々多くの業務に追われて多忙なSVの業務負荷を軽減するためにコールセンターの管理業務DXを推進することが重要です。みなさんの現場でもSVがリアルタイムモニタリングを通じてお客様との応対の品質向上に十分な時間を使えるようにSV業務のDXを検討してみてはいかがでしょうか。

 CCMLABOの運営会社アイビーシステムでは、DXを通じて従来の10倍のリアルモニタリングを実施することで劇的な業務改善をおこなった実績や、BIツールの導入で報告業務を自動化した実績があります。コールセンター業務の品質向上をお考えなら、アイビーシステムへの委託をご検討ください。

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