ヒューマンエラーを防ぐ!高品質の応対業務を実現する現場の工夫に密着

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コールセンターの現場では多種多様な業務が日夜行われています。コールセンターに依頼されるのは複雑さのために人が対応することが求められる応対業務であり、人が行う業務だからこそ常にヒューマンエラーと隣り合わせです。そんなコールセンターの現場で高い品質の応対業務を実現するためには、様々な工夫で当たり前だと思われることを徹底的にやり抜く必要があります。

今回はCCM LABOの運営会社であるアイビーシステムで実際に実施されている施策を見ながらヒューマンエラーを防ぐ方法について考えてみましょう。

ヒューマンエラーはなぜ起こるのか

ヒューマンエラーはなくならないからこそ、防ぐ

人間が作業をしている以上、どんな現場でもミスは発生します。しかし、業務の品質が高い現場では、ミスを未然に防ぐための施策が徹底されています。ミスを防ぐためには、ミスの種類と原因を把握する必要があります。

ヒューマンエラーの3大原因

仕事のやりにくさ

ヒューマンエラーの原因の1つに、仕事のやりにくさがあります。現場の業務にはPCや電話、書類等の様々な道具が必要です。多数の業務を抱えるとどうしても身の回りの管理が疎かになり、必要なものがすぐに見つからない、使うたびに違うところから取ってくる必要がある、等、仕事のやりにくさに繋がります。仕事がやりにくい状態で作業を続けると紛失や取り違いなどのヒューマンエラーにつながります。

似ているものを取り違う

似ているものを多く扱う現場では、何が違うか?という点を意識しなければ、ヒューマンエラーが起こりやすくなります。仕事を効率的に処理するために型化をすることは重要ですが、共通点のあるものは一見すると同じものに見えてしまい、取り違えてしまうというヒューマンエラーの原因となります。

慣れによる無意識のミス

同じ仕事を繰り返し行っていると身体が覚えてしまい、無意識に同じ動作としてやってしまう事があります。最初は工程毎にチェックポイントを意識して仕事をします。仕事のスピードは少し遅くても、1つ1つを意識しているため、失敗してもすぐに気がつきます。しかし、習熟するにつれ、一連の仕事を無意識にできるようになります。仕事のスピードを上げようとすることでチェックポイントの確認が省略されるため、ヒューマンエラーの原因となります。

仕事のやりにくさを排除する5S活動の本質

5S活動とは

5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを意味し、製造業の生産現場で提唱された工程改善の基本的な考え方です。昨今は製造業以外の現場にも積極的に導入されています。

整理:必要なものと不要なものを区別して、不要なものは捨てて必要なものだけを残すこと

整頓:必要なものが使いやすいようにルールに従って並べ、使用頻度によって適切に保管されていること

清掃:定期的に掃除をしてゴミや汚れのない状態にすること、同時に点検すること

清潔:整理、整頓、清掃によってきれいになった状態を維持すること

しつけ:決められたことを徹底するように訓練すること

アイビーシステムの5S活動

5S活動は新しいものでも、珍しいものでもありません。しかし、徹底してできていない現場があることもまた事実です。その原因の一つに自分の身の回りの状況は見慣れているため、風景になってしまっており、問題意識を持ちづらいということがあります。(もちろん自覚していて放置しているケースもありますが)

自分では気付けないことを指摘してもらうというために、他人の目を通すということはとても有効です。アイビーシステムでは、不定期にデスクやエリア毎の写真を撮影し、品質管理部門が問題箇所をリストアップして改善点を指摘することで、5Sの徹底を実践しています。

また、改善を指摘するときは、表面的にきれいに見える、というだけでなく、改善後の方が仕事がしやすくなる、つまり業務の流れ上より合理的な状態になるように考え抜いています。そうすることで改善後の状態を維持することのメリットが生まれ、「しばらくすると元の状態に戻ってしまう」ということがないようにしています。

ミスを組織に還元する再発防止術

同じミスを繰り返してしまう原因

ヒューマンエラーの原因として紹介した通り、シリーズものなど名前が似ている商品を取り違えるというミスは非常に起こりやすいものです。しかし非常に起こりやすいミスであるにもかかわらず、なかなか同じようなミスがなくならない一つの理由に、「当事者にならないとミスの深刻さ、重要さを痛感できない」というものがあります。

コールセンターならば、直接クライアントに向き合うセンター長やSVはミスの発生に頭を悩ませています。ミスを起こしてしまったAG本人も失敗を反省し、二度と同じミスをしないように対策を徹底するようになります。しかし、必ずしも全員が他人のミスを自分のことのように当事者意識を持って受け止められないこともあります。

アイビーシステム流再発防止術

アイビーシステムでは、1人のミスを1人の経験として終わらせず、組織に還元できるような仕組みを作っています。

そもそも、似ているものを取り違えを防ぐためには、「何が似ていて、何が違うのか」を明示的に意識して「こういう箇所でミスが発生するので、こういう対策を取ろう」と自分で考えることが大切です。そこで、朝礼でミスの事例と対策を紹介したり、マニュアルを修正したりといった一方通行の伝達だけではなく、目を引くデザインで注意喚起の張り紙を職場の至る所に貼ることで、AG同士が「こういうミスが発生しやすいけど、ここに注意すれば大丈夫」という会話を日常的にし、自分もそのミスについて考え、発話するようにすることで、ミスの発生箇所や対策を自分のこととして習得するようにしています。

日々の業務の中で慣れによる無意識のミスを減らす工夫

最後にもう一つアイビーシステムでヒューマンエラーを減らすことができた意外なアクションをご紹介します。

あるセンターで什器の交換をする際に、オフィスチェアの色をカラフルにしてみようという試みがありました。実施したセンターに話を聞いたところ、無味乾燥な事務所という雰囲気を打破したいということが主な理由でしたが、オフィスチェアに色のバリエーションがあることで、毎日「どの色のイスに座ろうか?」と選ぶ楽しみが生まれたそうです。

コールセンターのオペレーションは、画一した受け答えではなく個々のオペレーターの個性(キャラクター)を活かした応対が求められます。オフィスの椅子の色をオペレーターに選ばせることによって、画一的なマニュアルトークではなく個々のオペレーターが自分の強み(自分らしさ)を活かしたトークの実践を意識するようになり、考えながら仕事をするというカルチャーが強化された結果、ヒューマンエラーの減少に繋がりました。

まとめ

いかがでしたか?高品質の応対業務を確実に実施するために、現場では様々な工夫がなされています。1つ1つは簡単で当たり前のことでも、徹底してやり切ることは意外と難しいものです。

皆さんの現場でもヒューマンエラーを防ぐために、ヒューマンエラーの三大原因に着目したアクションを実施してみてはいかがでしょうか。

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