これからECサイトの運営に乗り出すという場合、ECサイトの構築方法を詳しく知っておくことで、その後の作業がスムーズに進むでしょう。
ECサイトの構築方法はプラットフォームによって異なります。そのため、まずは事業規模や特徴に応じて最適なプラットフォームを選ばなければいけません。
今回は、ECサイトのプラットフォームを特徴別に5つご紹介します。また、「ASP」「オープンソース」「パッケージ・クラウドEC・フルスクラッチ」という3つのプラットフォームにわけて、それぞれの構築方法を手順や費用とあわせて解説します。
ECサイトを構築できる5つのプラットフォーム
ECサイトを構築できるプラットフォームは、大きくわけて5種類です。それぞれのメリットや注意点といった特徴は、このあとの項目で個別にご説明します。
まずは、それぞれの特徴を表にまとめたのでチェックしておきましょう。
種類 | 初期費用 | 月額費用 | カスタマイズ | 目安となる年商 |
ASP | 5万円 | 4万円 | × | 1億円以下 |
オープンソース | 0円 | 5万円 | ○ | 1億円以下 |
パッケージ | 300万円 | 30万円 | ○ | 1億円 |
クラウドEC | 300万円 | 50万円 | ○ | 1億円 |
フルスクラッチ | 数千万円 | 数十万円 | ○ | 50億円 |
初期費用と月額料金は、いくつかの製品・サービスの価格を平均した金額です。目安として捉えましょう。
それぞれの構築方法の詳細は以下の項目でご紹介します。
・個人でも手軽に始められる 「ASP」
・個人でも始められるが、技術力が必要な「オープンソース」
・年商1億円以上の企業におすすめの「パッケージ」
・パッケージをクラウド型にした「クラウドEC」
・フルスクラッチ
個人でも手軽に始められる「ASP」
ASPは「Application Service Provider」の略です。販売管理から会計管理まで、あらゆるサービスのなかから好きなものだけを利用できます。また、無料ASPと有料ASPにわかれているため、個人でも気軽に始められるというメリットがあります。
無料ASPの場合、構築は無料ですが、決済料やサービス料は有料になることに注意しましょう。
なお、有料ASPの初期費用は4~5万円、月額費用は10万円程度が相場で、無料・有料どちらもカスタマイズができません。各ASPのメリットと注意点を考慮すると、それぞれに向いているのは以下のような人といえます。
【無料ASPがおすすめの人】
・毎月の費用をできるだけ抑えたい人
・商品やサービスの数が少ない人
・個人事業主
・カスタマイズが不要な人
【有料ASPがおすすめの人】
・費用を抑えつつサポートを受けたい人
・商品やサービスの数が少ない人
・個人事業主
・カスタマイズが不要な人
無料・有料の主な違いは、サポートの有無や質です。ECサイトに関する知識がほとんどない場合、サポートがより手厚い有料ASPを利用したほうがよいでしょう。また、外部サービスとの連携といった無料版にはないサービスが付帯することもあります。
個人でも始められるが、技術力が必要な「オープンソース」
インターネット上で広く公開されているプラグインを使い、自社や個人でプログラミングを行ってECサイトを構築します。
メリットは何といってもコストを抑えられることでしょう。サーバーの立ち上げと維持にかかる費用を除けば、低コストでECサイトの構築と運用を継続できます。また、自由なカスタマイズも可能です。
注意点は、設計から運用までのすべてを自社や個人で行う必要が生じることです。ECサイトに関する知識を持つ人材が自社にいない場合、構築すること自体が困難でしょう。運用を始められたとしても、不正アクセスを始めとするトラブルが発生した際は、自力での修正・復旧作業が必要になることに加えて、顧客対応も行わなければなりません。
【オープンソースがおすすめの人】
・ゼロに近いコストでECサイトの構築・運用をしたい人
・自社にプログラミングやセキュリティ対策が得意な人材がいる人
・自由にカスタマイズをしたい人
年商1億円以上の企業におすすめの「パッケージ」
ECサイトを構築するうえで必要な機能が詰め込まれたものが「パッケージ」です。
カート機能を筆頭に、受注や売上、顧客情報などがまとめられていて、これをカスタマイズしながらECサイトを構築できます。ASPやオープンソースと比較すると費用が高額であり、目安として年商1億円以上の企業におすすめです。
注意点は、システム全般が時代遅れのような状態になった場合に、ECサイトのリニューアルに合わせてパッケージそのものの更新が必要になることです。リニューアル時に多額の再投資が求められる可能性が高く、将来的にかかる費用も試算したうえで導入の有無を検討しなければなりません。
【パッケージがおすすめの人】
・基本的な機能をすべてセットで入手したい人
・自社に合ったカスタマイズを行いたい人
・できる限りECサイト構築にかかる時間を短縮したい人
パッケージをクラウド型にした「クラウドEC」
前述したパッケージをクラウド型にしたものが「クラウドEC」です。
クラウド型としてASPの選択もできますが、パッケージ型で提供されることが一般的になっています。クラウド環境を活用してECサイトの構築・運用ができるため、常に最新のシステムへアップデートできることがメリットです。
保守サービス等も会社側に委任でき、パッケージの欠点を解消させられる存在といえるでしょう。
パッケージと比較して極端に高額になることは稀ですが、ランニングコストがかかりやすいことがデメリットといえます。ECサイト運用後の売上が不透明な状態で導入することはリスキーであり、とくに事業規模が小さく、失敗が許されない企業や個人にはおすすめできません。
【クラウドECがおすすめの人】
・基本的な機能をすべてセットで入手したい人
・アプリケーションの更新や保守をすべて提供会社に委任したい人
・ランニングコストの高さが負担にならない人
フルスクラッチ
まっさらな状態からECサイトの構築を始めるのが「フルスクラッチ」です。
オーダーメイドで自社が作りたいECサイトを製作できるため、カスタマイズが自由自在です。自社の理想やこだわりを反映させられるほか、競合と被らないオリジナリティのあるECサイトを持てます。
ただし、ゼロからECサイトを立ち上げる必要があるため、専門的な技術を持つスタッフを多く抱える企業でなければ自力でフルスクラッチを行うことは難しいでしょう。提供会社に依頼する場合の費用は数千万円単位になることも少なくありません。また、そのほかのプラットフォームと比較すると運用開始までに時間がかかります。
【フルスクラッチがおすすめの人】
・妥協せずにECサイトを作り上げたい人
・オンリーワンのデザインや機能があるECサイトを持ちたい人
・ECサイト構築や運用を提供会社に任せられる資金がある人
ECプラットフォームを選ぶ際のポイント
ECサイトを構築する際は、これまでにご紹介した5つのプラットフォームのうちいずれかを選ぶことが原則です。
それでは、何を基準にECプラットフォームを選ぶと成功しやすくなるのでしょうか。検討すべき2つのポイントを解説します。
自社のビジネス規模に合ったプラットフォームを選ぶ
ECプラットフォームは、構築方法によってかかる費用に大きな差が生じます。オープンソースやASPなら初期費用と月額費用がどちらも5万円以下に収まる場合がありますが、フルスクラッチの場合は構築費用だけで数千万円という投資額を見込まなければなりません。
まずは自社のビジネス規模を見つめ直して、無理のないコストで運用できるECプラットフォームを選びましょう。
【構築方法別に見た年商の目安】
・ASP、オープンソース:1億円以下
・パッケージ、クラウド:1億円
・フルスクラッチ:50億円
ECサイトに備えられる機能を基準に選ぶ
カスタマイズの可否や、カスタマイズができる範囲がプラットフォームによって異なることも把握しておきましょう。ECプラットフォームの種類によって備えられる機能が増減するため、自社がどのようなECサイトを持ちたいのかという点を事前に整理することが重要です。
例えば無料のASPはカスタマイズそのものができないものの、コストが低く個人でも運用しやすいという特徴があります。クラウドECは基本的な機能を一括で備えられるバランス型で、自由度が最も高いフルスクラッチはそのぶん初期費用・月額費用が高額です。機能と予算の兼ね合いを見ながら、プラットフォームを検討しましょう。
【プラットフォーム別】ECサイトの構築方法
プラットフォームが決定したら、いよいよECサイトの構築へと移りましょう。
プラットフォーム別に見たECサイトの構築方法をまとめました。構築完了までの目安の期間とあわせてご紹介します。
ASPの場合
ASPの場合、構築完了までの目安期間は約3ヶ月と考えましょう。構築までの手順は以下のとおりです。
①ショップを作成する
会社の情報や購入方法、問い合わせ先といった基盤となる情報を入力し、ショップを作成します。
②デザインを決める
ロゴ、バナーを含めたサイトのデザインを決めます。
③各種設定を行う
決済方法、手数料、送料といった設定を行います。
④商品管理を行う
販売する商品を決めて、出品等の登録作業を行います。
⑤特定所取引法に基づく表示をする
特定商取引法に基づいた表示を必ず行い、運用を開始します。
オープンソースの場合
オープンソースの場合、構築から運用までの過程を自社で行うことが基本です。ASPと比べて自由度が増すため、運用開始までの手順が異なります。
完成までの目安期間は担当者のスキルにもよりますが、3ヶ月程度を見ておくとよいでしょう。
①必要なアプリケーションを決める
どのようなECサイトを作成するのかを決めて、利用するアプリケーションを決めます。
②必要に応じてカスタマイズする
活用するツールの内容を確認して、必要に応じてカスタマイズします。
③テストを行う
意図した通りに作動するかどうか、外部サービスと連動するかどうかといった点をテストして、問題がなければ運用を開始します。
パッケージ・クラウドEC・フルスクラッチの場合
パッケージ・クラウドEC・フルスクラッチの場合は、提要会社に構築や管理等を委託します。
パッケージの場合は3ヶ月以内に構築が完了しますが、フルスクラッチは完成までに半年~1年単位の期間が必要です。
①要件定義を行う
どのようなECサイトを持ちたいのか、要件定義書を作成して明確化します。
②設計・開発を行う
妖艶定義書を元にECサイトの設計と開発が行われます。
③テストを行う
意図した通りに作動するかどうか、外部サービスと連動するかどうか等をテストします。デザインに問題がないかどうかも最終確認して、運用を開始しましょう。
4.まとめ
ECプラットフォームは、大きくわけて5つの種類があります。どれが適しているのかは、会社の規模や予算によって異なるので、まずは年商等を確認して最適なプラットフォームを選びましょう。
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