国や自治体によって新型コロナワクチンに関する方針や制度が決められ、日本でもワクチン接種が始まりました。ワクチン接種には電話やインターネット等で予約が必要です。現在はかなり改善し、ワクチン接種も進んでいますが、当初は予約電話が殺到して電話がつながらなかったり、アクセスが殺到してサーバーが停止したりという状況が発生していました。
新型コロナのワクチン接種はどのような制度なのでしょうか。また、コールセンターに電話がつながらない、という事態はどうして発生するのでしょうか。今回は新型コロナのワクチンに関する厚生労働省の公表等の情報を整理するとともに、コールセンターに電話がつながらなかった理由を解説します。
※本記事記載の内容は2021年9月30日時点の情報を整理したものです。最新の情報は厚生労働省のHP等をご確認ください。
厚生労働省HP
世界の新型のワクチン接種状況
そもそもワクチンとは?
そもそも、ワクチンとはなんなのでしょうか。ワクチン、予防接種について厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aでは下記のように説明されています。
予防接種とは、感染症の原因となる病原体に対する免疫ができる体の仕組みを使って、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種することをいいます。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/structure/
では、新型コロナウィルスに対して有効なワクチンにはどのようなものがあるのでしょうか。同じく新型コロナワクチンQ&Aには、ファイザー社、武田/モデルナ社、アストラゼネカ社の3社の製薬会社のワクチンが接種が可能と説明されています。
日本では現在、ファイザー社、武田/モデルナ社、及びアストラゼネカ社のワクチンが薬事承認されており、予防接種法における接種の対象となっています。(中略)
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/structure/
いずれのワクチンも、薬事承認前に、海外で発症予防効果を確認するための臨床試験が実施されており、ファイザー社のワクチンでは約95%、武田/モデルナ社のワクチンでは約94%の発症予防効果が確認されています。また、アストラゼネカ社のワクチンは、海外で実施された複数の臨床試験の併合解析の結果から、約70%等の発症予防効果が確認されています。
世界のワクチン接種状況
世界ではワクチン接種が進んでおり、イギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するサイト「アワ・ワールド・イン・データ」によると、2021年9月30日時点で、少なくとも1回のワクチン接種を受けた人の割合は、カナダで76%、イギリスで71%、アメリカで63%、インドで46%となっています。
日本のワクチン接種状況
日本でのワクチン接種状況はどうでしょうか。同じく「アワ・ワールド・イン・データ」によると、2021年9月30日時点で、少なくとも1回のワクチン接種を受けた人の割合は70%となっています。医療関係者の皆様のご尽力もあり、世界の中でも高い水準となっています。
新型コロナワクチンについての厚生労働省の公表内容まとめ
新型コロナワクチンについて、日本ではどのような制度となっているのでしょうか。厚生労働省が公表している内容を下記にまとめました。
※以下はわかりやすさのために概要を簡単に記載したものです。新型コロナワクチンの接種に際しては、厚生労働省、自治体、医師等の正しい情報・指示等に従ってください。
出処:厚生労働省 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ
ワクチン接種の時期
接種の期間は令和3年2月から令和4年2月の1年間を想定しています。医療従事者の方や高齢者の方への接種を優先的に接種が行われることとなっており、高齢者の方への接種は、一部の市町村で4月 12 日から開始され、 5 月以降、全国の市町村で接種が進められています。6月21日からは、企業や大学等で職域単位での接種を可能とするなど、接種の更なる加速化を図っているようです。
ワクチンの接種回数
新型コロナのワクチンは2回の接種が必要で、ファイザー社、武田/モデルナ社どちらのワクチンも1回目の接種から3〜4週間の間隔を開けて、2回目のワクチン接種が必要となります。また、アストラゼネカ社のワクチンは標準として、1回目の接種から4~12週間後に2回目を接種します。ただし、最大の効果を得るためには、8週以上の間隔をおいて接種することが望ましいとされています。
ワクチン接種の対象となる人と優先順位
新型コロナワクチンの接種対象は、ファイザー社のワクチンについて、接種する日に12歳以上の方、武田/モデルナ社のワクチンについて、接種する日に12歳以上の方、アストラゼネカ社のワクチン:接種する日に原則40歳以上の方(特に必要がある場合は18歳以上の方)となります。(8/10更新)
接種の優先順位は、(1)医療従事者等、(2) 高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)、(3) 高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、(4) それ以外の方、となります。優先順位は決められているものの、政府は全国民分のワクチンの確保を目指すと公表しています。
ワクチン接種会場
原則として、住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や接種会場でワクチンの摂取を受けることができます。詳しくは、接種総合案内サイト「コロナワクチンナビ」で調べることができます。
厚生労働省 コロナワクチンナビ
海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書
海外への渡航時(入国時)、入国の防疫措置の緩和等を入国先で判断するために、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の事実を公的に証明する接種証明書の交付申請が令和3年7月26日(月)から各市区町村において始まることとなったようです。
接種を受けるための費用・手続き
接種の費用は全額公費となり無料となります。接種を受けるための手続は下記の通りです。
(1)接種の時期より前に、市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届きます。
(2) ご自身が接種可能な時期が来たことをご確認ください。
(3) ワクチンを受けることができる医療機関や接種会場をお探しください。(接種が受けられる場所を参照)
(4) 電話やインターネットで予約をしてください。
(5) ワクチンを受ける際には、市町村より郵送される「接種券」と「本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)」を必ずお持ちになってください。
(4)にあるように、電話やインターネットで接種の予約が必要になりますが、電話がつながりづらい状況が続いています。なぜコールセンターに電話がつながらないのでしょうか。
なぜ当初コールセンターに電話がつながらなかったのか – 理由と対策 –
コールセンターに電話がつながらない理由
新型コロナワクチンの予約受付センターを設置する場合、想定の入電数から配置人数を決めます。設置する際にどの程度の予約入電があり、何人のオペレーターを配置すれば良いかの想定を行いますが、予約開始とともに想定を上回る入電があったことにより、大量の対応できない電話(待呼)が発生し、オペレータにつながらないまま長い時間待たされたり、接続が切れたりする、という事態が発生しました。
このような事態を解決する方法として、入電予測の精度向上と臨機応変なオペレーター体制の見直しが考えられます。
どうすれば「つながる」コールセンターが作れるのか
対策1:入電予測
通信キャリアの管理システムで総発呼数や着信数、応答数などのトラフィック状況を把握する事ができる特定番号という仕組みがあります。この仕組みを利用して、コールセンターへの入電数や応答数等をデータとして蓄積し分析することで、どの時間帯に電話が集中するかを予測することができるようになります。データ分析力のあるコールセンターであれば、ピーク予測等の分析を実施して業務に活かすことができます。
対策2:臨機応変なオペレーター体制の見直し
入電予測に基づき、オペレーターの体制を見直します。標準として常時何人のオペレーターを配置しなければいけないか、ピークとなる時間帯にはどの程度の入電が想定されるので、何人まで体制を拡張しなければいけないのか、という状況に応じた体制の検討が必要です。
豊富な業務経験があるコールセンターでは複数の業務でオペレーターを融通して、入電が集中する時間帯に対応するなどのノウハウを持っています。
まとめ
経験豊富なコールセンターがこれまでに培ったノウハウを活かすことで、新型コロナワクチン予約の電話がつながらない、という状況は改善することができました。
新型コロナウィルスに打ち勝つため、医療関係者の方、各自治体の職員の方をはじめ、関係先の皆さんは日々獅子奮闘されておられます。一日も早く新型コロナワクチンが全ての接種希望者に行き渡るよう願うばかりです。