【第1回】ザ・カスタマーコミュニケーションマスター 守屋さん/福田さん (後編)

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こんにちは。CCMLABO編集部のヨクキクです。カスタマーコミュニケーションを追求する「人」にフォーカスした特集企画「ザ・カスタマーコミュニケーションマスター」。今回はアイビーシステム諏訪南町センターのSVの守屋貴美さん、同じくSVの福田ちひろさんにインタビューしました。

お二人は諏訪南町センターの品質・研修担当として、コールセンターの品質を高く保つための活動に取り組まれています。コールセンターにとって品質とは何か。どのように品質を管理しているのか。品質向上のための研修って?などなど、詳しく伺いました。

ミステリーコールでまさかの品質低下の指摘

ヨクキク:品質を高い水準で保つことは難しいと思うのですが、うまくいかない時はないのですか?

守屋:実は2018年度に実施されたミステリーコールで品質低下を指摘されたことがあります。

ヨクキク:ミステリーコールってなんですか?

守屋:本社の品質管理部の社員がお客様としてコールセンターに電話をかけ、応対品質を確認するテストをミステリーコールと呼んでいます。「明るい笑顔、素直な心、感謝の気持」という経営理念を実践できているか、先ほどお話ししたスコアシートで評価します。

ヨクキク:レストランなどでもある覆面調査のようなものでしょうか。

守屋:はい、おっしゃる通りです。

ヨクキク:ミステリーコール、こわいですね・・・。

守屋:2018年度のミステリーコールの総合評価が前年比マイナス10%と大幅に下がり、品質の低下を指摘されました。諏訪南町センターとしては品質に自信を持って業務に取り組んでいたので、センター全体がとてもショックを受けました。私自身もすごく悔しかったことを今でも鮮明に覚えています。絶対に品質を高めて評価を取り戻す、そう心に決めて、通常のSV業務に加えてセンター全体の品質担当に立候補し、品質改善活動をリードするようになりました。

悔しさをバネに品質改善活動を推進

ヨクキク:悔しさをバネにして、品質改善を決意されたわけですね。具体的にはどのような改善施策を実施したのですか。

守屋:施策の前に、今何ができていないのか、改めてチェックする必要性を感じました。自分たちでは品質が低下していることに気づけなかったということは、現状把握が十分にできていなかったのではないかと考えたのです。そこで、数ヶ月間かけて業務終了後にAG全員の通話音声をSVで聞き直し、一人ひとりの改善点を洗い出しました。

ヨクキク:AGのみなさんは、何人ぐらいいらっしゃるのですか。

守屋:諏訪南町センターでは、50名以上のAGが働いています。

ヨクキク:全員の通話音声を聞かれたのですか!?通常の業務だけでも多忙なSVのみなさんで、業務終了後に50人以上の通話音声を聞かれるのは相当大変だったのではないでしょうか?

守屋:大変な作業でしたが、それくらいのことをしないといけないと思ったのです。現状の問題点がはっきりわかっていない状態で全体に対して中途半端な改善施策を画一的に打ち出すだけでは、評価を取り戻すことはできないと感じていました。

ヨクキク:相当な覚悟をされていたのですね。現状把握をされた後、どのようなアクションにつなげていったのですか。

守屋:センターの品質を底上げするために、まずは音声で確認した改善点を一人ひとりにフィードバックして個人の実力アップを図りました。センター全体としては50名以上のAGがいても、お電話をかけてくださったお客様からすれば、自分と会話したたった一人の担当者です。クライアント企業の顔となるAG一人ひとりの実力アップが最初に取り組んだテーマでした。

福田:次にセンター全体の視点で共通して強化すべきポイントを絞り、特別研修を実施しました。その名も「スマイル研修」。経営理念の一つ「明るい笑顔」を実践するために2人1組でロールプレイングを実施して、相互に評価し合い、明るい笑顔を実践する練習をしたのです。

ヨクキク:顔の見えないコールセンターで「明るい笑顔」はどうやって実践するのでしょう。

福田:実際には話している私たちの顔は見えないのですが、お電話の第一声でお客様に明るい気持ちになってもらうこと、こちらが笑顔で応対していることがわかるような話し方をすることが「明るい笑顔」の実践です。2人1組のロールプレイングでは実際に顔が見えているので、笑顔を作ることで自分たちの応対がどのように変化するのかをAG全員が実感することができ、「明るい笑顔」の重要性と、どのように話せば「明るい笑顔」を表現できるか、全員が腹落ちすることができました。

ヨクキク:AGのみなさん一人ひとりが品質への高い意識を持ち、それを実践する方法を改めて訓練されたのですね。次のミステリーコールが楽しみになったのではないですか。

守屋:ミステリーコールが楽しみということはないのですが(笑)。個人への改善点フィードバックとスマイル研修を約1年かけて実施することで、2019年度のミステリーコールでは品質評価を取り戻し、アイビーシステム屈指の高品質センターに返り咲くことができました。正直なところ、品質担当に立候補してから毎日試行錯誤の連続だったので、本当に嬉しかったです。

ヨクキク:いまでも品質を高く保つための取組みをされていますか。

守屋:今回の品質改善施策を実施する中で、品質を高く保つには正しい現状把握と日々問題点を改善する研修をセットで実施することが大切だと感じました。そこで、2020年度は私と福田の2人で品質・研修担当としてセンター全体の品質強化に取り組んでいます。

あなたにとってカスタマーコミュニケーションで最も大切なことは

ヨクキク:CCMLABOのCCMはカスタマーコミュニケーションマスターの略なのですが、コールセンターの現場で日々プライドを持って業務に取り組まれているお二人はまさにカスタマーコミュニケーションマスターだと感じました。最後にお二人が考えるカスタマーコミュニケーションにとって最も大切なことを教えていただけますか。

福田:カスタマーコミュニケーション、つまりお客様への応対で最も大切なのは、お客様にとって気持ちのいいコミュニケーションを作ることだと思います。でも、それは小手先のテクニックではできなくて、言葉を発するAG一人ひとりが心が気持ちのいい状態でないとできないと思っています。AG全員が気持ちよく働けるための環境づくりが一番大切だと思いますね。

守屋:私が考える最も大切なことは、お電話をかけてくださったお客様に「この人に対応してもらってよかった、次に電話をかけるときもこの人に対応して欲しいな」と思って電話を切ってもらうことですね。多くの場合、電話を切るタイミングって、お客様にとっては自分の目的が達成できたタイミングなので、そのとき「この人に対応してもらってよかった」と感じるということは、応対全部の評価になるんですよ。だから、そういう評価をいただくために、AG一人ひとりが会話のどの場面でもお客様にきちんと向き合えるようにサポートしていきたいと思っています。

ヨクキク:守屋さん、福田さん、本日はありがとうございました。これからもがんばってください。

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