【第1回】ザ・カスタマーコミュニケーションマスター 守屋さん/福田さん (前編)

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こんにちは。CCMLABO編集部のヨクキクです。カスタマーコミュニケーションを追求する「人」にフォーカスした特集企画「ザ・カスタマーコミュニケーションマスター」。今回はアイビーシステム諏訪南町センターのSVの守屋貴美さん(写真右)、同じくSVの福田ちひろさん(写真左)にインタビューしました。

お二人は諏訪南町センターの品質・研修担当として、コールセンターの品質を高く保つための活動に取り組まれています。コールセンターにとって品質とは何か。どのように品質を管理しているのか。品質向上のための研修って?などなど、詳しく伺いました。

コールセンターの現場をリードするSVの仕事

ヨクキク:守屋さん、福田さん、本日はよろしくお願いします。

守屋/福田:よろしくお願いします。

ヨクキク:お二人は諏訪南町センターでSV(スーパーバイザー、以下SV)の業務に従事されているということですが、SVとはどのようなお仕事なのですか?

守屋:主な業務はコールセンターでお客様に応対するAG(エージェント、以下AG)のみなさんをまとめるリーダーとしての仕事です。いま、どの業務の電話がどれくらいの量鳴っているのかという全体把握をしながら、AG一人ひとりの電話の様子をチェックしています。

ヨクキク:たくさんの電話の一つ一つを聞き分けるなんて、聖徳太子みたいですね。(驚)

守屋:さすがに全ての内容を聞いているわけでありません(笑)。うまく応対できているか、困っている人はいないか、そういったアンテナを張り巡らせています。

福田:電話応対をするための資料作りをするのもSVの仕事です。どのように応対するか、流れを整理したコールスクリプトを用意したり、個々の案件ごとの詳細な業務知識をまとめたり、AGのみなさんが電話での応対に困らないようにツールを整えています。

守屋:そして、お客様との応対が行き詰まったときに、どのようにお話しすればいいかをサポートするのもSVの仕事です。

ヨクキク:AGのみなさんが働きやすいようにリードするお仕事ということですね。KPIの管理業務もSVの仕事ですか?

守屋:はい、おっしゃる通りクライアント様と設定したKPIが目標を達成できているかという数値管理もSVの仕事です。ただ、数値だけを機械的に追いかけるのではなく、KPIを達成しながらお電話の品質を高い水準に保つことに特にこだわっています。

ヨクキク:お二人の間に役割分担はありますか。

守屋:SVの通常業務は二人とも実施しています。それに加えて私が品質管理を、福田が研修を担当し、二人で品質・研修担当としてセンターの品質を高い水準に保つ取り組みを実施しています。

コールセンターにとって品質とは何か

ヨクキク:工場などでは作ったものに欠陥がないかどうかを検査することで品質を管理するイメージがあるのですが、お電話の品質はどのように測るのでしょうか。

守屋:お電話の品質は目に見えません。そこで、品質の評価基準としてアイビーシステムでは「明るい笑顔、素直な心、感謝の気持」という経営理念を掲げ、その3つの観点で品質を管理しています。「明るい笑顔、素直な心、感謝の気持」で応対することで、お客様に気持ちよくお電話での問合せを完了してもらえるかを常に意識しています。

福田:具体的には「明るい笑顔」、「素直な心」、「感謝の気持」それぞれが達成できているかを複数の項目に細分化して4点満点でチェックするスコアシートを用意して数値化して測定しています。

ヨクキク:お客様への応対がどうあるべきかを会社の行動指針である経営理念として掲げ、定量的なチェックの仕組みを導入することで、徹底されているということですね。

守屋:はい、おっしゃる通りです。

ヨクキク:品質の管理をどのように実施されているのかについては分かったのですが、品質を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。

守屋:応対の品質を高めるには大きく分けて2つのポイントがあります。一つは気持ちの部分。先ほどの経営理念を常に意識して応対することが必要です。もう一つは業務知識です。気持ちがあっても正しい情報を伝えることができなければ、お電話をかけてくださったお客様の目的を達成できません。気持ちと知識の両輪で応対の品質は決まってきます。

高い品質を実現するためのトレーニングノウハウ

ヨクキク:AGのみなさん一人ひとりに経営理念を徹底する気持ちと業務知識を両立してもらうために、どのような訓練や練習をしているのでしょうか。

福田:アイビーシステムでは研修という形で、AGのみなさんのトレーニングを実施しています。研修は大きく分けて2種類、新人研修と業務研修を実施しています。新人研修では経営理念について、表面的な意味だけでなく、どうしてそのような気持ちが必要なのかを体験談を交えて説明して、一人ひとりに腹落ちしてもらいます。業務研修では、ベテランAGの方にも協力してもらい、実際に業務で使用する資料を使ってポイントを詳細に説明して電話応対に必要な業務知識を確かなものにしていきます。新人研修は入社時に、業務研修は入社したタイミングと新しい業務を担当してもらうときに実施します。

ヨクキク:日々お電話が鳴り止まないコールセンターでの研修はどのように時間を確保するのですか。みなさんが集まれるタイミングを作るのは難しいと思うのですが。

福田:研修といっても全員で集まって講義をするというものではなく、1対1で何回かに分けて行います。私やベテランAGがお客様役になって、実際のお電話のような緊張感を作ってロールプレイングをすることで、実践を意識した業務知識の習得をしてもらいます。1対1なので、それぞれの業務理解の進捗や習熟度合いに応じて内容を変えながら、複数回の研修を通じて業務に対応できる力を付けていくのです。

守屋:そのため、業務のシフトを調整するときに研修の予定も組み込んでスケジュールを決めていきます。電話応対に支障が出てしまっては本末転倒ですので、あくまで業務を中心にしながら研修を進めるようにしています。

ヨクキク:大変失礼しました。そうですよね、日々お客様からのお問い合わせがあるコールセンターで全員での研修はできないですよね。納得です。個々人を研修するときに気をつけていることはありますか。

福田:積み重ねの説明を特に意識しています。この人はここまで分かっている、だからここから説明する、といったような具合です。理解が不十分なまま新たな知識を重ねると混乱させてしまったり、定着しなかったりするので、注意しています。積み重ねの説明は守屋さんが上手ですね。

守屋:やはり、自分がAGだった時のことを考えると、自分の状態を理解して話してもらった方がわかりやすいので、そこは意識しています。もう一つ意識していることとして、そのまま使える形で教えることに特にこだわっています。話す内容だけでなく、間の取り方や抑揚、お客様のご意見を聞くタイミングなど、実際の業務でスクリプトを言葉にしたときに迷う部分がないようすることが重要だと思っています。

ヨクキク:新人研修と業務研修の他に注力している研修はありますか。

守屋:はい、定期的に経営理念を改めてマインドセットするための研修を実施しています。慣れてくるとどうしても、気持ちの方がついていかなくなることがあります。忙しい時は特に、忘れがちです。そこで、定期的に経営理念を思い出してもらう研修を実施します。そうすることで業務知識の習熟と気持ちの維持を図り、両輪をうまく機能させているのです。

(後編に続く)

後編は諏訪南町センターで実際に取り組んだ品質改善の成功事例をご紹介します。

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